エンディングプランナーとしてご葬儀をお手伝いしている横内人士です。
先日、弊社でもはじめてのケースとなった、葬儀の「インターネット中継」をお手伝いさせていただきましたので、ご紹介いたします。
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病院で息を引き取られたのはお父様。お母様とお子様3人の5人家族でした。
男兄弟の中で唯一の女の子であったご長女様には怒ったこともなく、優しいお父様だったそうです。
その愛を受けて、ご長女様も優しく明るい女性に育ち、家族にとってなくてはならない存在となりました。
そのご長女様は今ご家族とともにヨーロッパにお住まいです。
2日後に控えた、大好きだったお父様の葬儀。
しかしお子様の病気のため、帰国することがどうしても叶わない状況でした。
ご長女様も諦めて、お父様への言葉をメールでご兄弟に送り、それを葬儀中に読んで欲しいとお願いされていました。
しかし我々には疑問が残ったのです。
メッセージの代読で、ご長女様の本当の想いは伝わるでしょうか?
帰国されたときにすでにご遺骨になっている大好きなお父様を前に、悔いは残らないでしょうか?
そんな想いを絶対にしてほしくない。絆が深いご家族ですからなおさらのことです。
お打合せの夜、マイナス9時間のその国では朝の時間に、直接ご長女様と電話でお話しさせていただきました。
「ご葬儀にインターネットテレビ電話で参加していただけませんか?」
・時差の問題
・機材の問題
・インターネット回線の問題
初の試みでありましたので課題はたくさんありました。
事前に娘さんと回線のテストをさせていただき、カメラと音声が繋がることを確認。
インターネット回線に多少の支障がありましたが、告別式当日までに何とか対応することができました。
そして迎えた、告別式の日。
せっかくの海外からの参列ですので、開式前から回線をつながせていただきました。
久しぶりにお会いするご親族の方もいらっしゃったので会話も弾んでおられました。
そのまま開式し、御坊様のお勤めも一緒に参加していただきました。
そして、ご出棺前のお別れの儀、お花入れの儀には、お父様と会場全体が見渡せる位置にWebカメラを移動し、初めに直接ご長女さまから会場と、お父様に向けてお別れの言葉をいただきました。
参列できなかったお詫びと、お父様の思い出、お父様へのお別れの言葉。
スピーカーを設置してありましたので、ご長女さまのお言葉は、会場とお父様にしっかりと届きました。
最期に、ご長女様からのリクエストでご用意した、青いお花のブーケをお手向けし、ご出棺までお見送りされました。
ご葬儀を終えて、ご家族にいただいた「長女が参列できてよかった」というお言葉。
また、ご長女様からもメールで、「諦めていましたが、父を見送ることができた気がします」とお言葉をいただくことができました。
その方の最後の時に、しっかりと想いを伝え、
その方の想いを受け継ぐ場。
お葬式とはそんな「命をつなぐ」時間なのではないでしょうか。
色々なご事情で参列がかなわない時もあるかと思いますが、
できる限りの最善を尽くし、命をつなぐご葬儀のお手伝いがこれからもできればと思います。
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※式場でのお写真は、ご家族の許可をいただき、掲載させていただいております。