こんにちは。今年4月に入社した山本裕香です。
先日、私たち新卒4人組は、「田植え研修」を受けさせていただくことになりました。
行先は1年上の先輩・荒井悟の栃木県のご実家です。きっかけは1年前。入社したばかりの荒井が特別休暇を申請した時、真剣な目で「毎年何があっても、実家の田植えを手伝いに帰っているんです」と言ったのが印象的だったそうです。
まず、驚いたのが荒井家の皆様がとても明るいということです。ご実家に到着するとお母さま、おばあさま、2番目のお兄さま、叔父さまがとても温かく出迎えてくださいました。私たちもとても温かい気持ちになり、緊張をほぐすことができました。
着替えをして、田んぼに行きました。田んぼに行くとお父さまがすでに田植えを行っていました。今の時代、機械でほとんど田植えを行いますが、機械だけで全て行うことはできません。
田植え機に苗をセットすること、
育苗箱(いくびょうばこ)を洗うこと、
苗に水を与えること、田植え機では植えられないところに植えること、全て人の手です。
苗を植えるときだけではなく、植えた後、稲刈りまで毎日欠かさず田んぼに行き、管理をするそうです。お母さまの、「毎日毎日、目を離す事が出来ないから旅行も行けないの」と普通のことのようにおっしゃったことがとても印象的でした。
米があまり食べられなくなったことから、米農家でも米を作るのを制限されているそうです。荒井さんの家では米を作らない田んぼは畑にし、かぼちゃを植えていました。
私が田植え研修で感じたことは、3つのことです。
① 農家の方がいるからこそ食事ができる
現代人、特に東京で働いている人には忘れているものだと思いました。農家の方が大変な苦労をして作ったものと分かればもっと食べ物を粗末に扱うことはなくなるはず、と思いました。
② 人の手が大切
人の手が加わることにより、一つひとつの苗に愛情がこもり、寄り添うということに結びつくのではないかと思いました。
③土地を守る
これはお母様の「どんなことがあっても田んぼが荒れているのは嫌。だから田植えをやめる選択肢はない。」という言葉からです。土地を守り続けるということは容易なことではありません。先祖代々続く土地を守る、それは土地を通してご先祖様の「命をつなぐ」ということが分かりました。
ご葬儀のお供え物に『一膳飯』というものがあります。
昔は白米は贅沢なもので、あまり食べられなかったものでした。「最後ぐらい白米を山盛り食べてほしい」という気持ちから一膳飯は白米で作る、となっているそうです。田植えを経験し、お米を作る大変さが分かり、お米一粒一粒の大切さが身に沁みました。大切なお米だからこそ、大切な故人様に召し上がっていただきたい。その気持ちはいつの時代も同じなのだなと思いました。
田植えと葬儀社。一見全く違うものですが、似ている部分をたくさん発見することができた2日間でした。これから先、歳を重ねるごとに見えてくるものはたくさんあると思います。しかし、それ以上に若いころに感じたことは忘れていってしまうと思います。いつでも初心に帰ることを忘れないためにもこの田植え研修で感じたことをずっと心の中に残しておきたいと思います。これからも田植え研修に行かせていただける機会があるならば、ぜひ参加したいです。
荒井家の皆様、このようなとても良い経験をさせていただき、本当にありがとうございました。